セサミンの脳梗塞予防効果をチェック

セサミンはごまに含まれる成分で、肌のハリやシミをケアする働きがあります。エイジングケア分野ではメジャーな成分として知られていますが、脳梗塞の予防にも効果があるのでしょうか。ここでは、セサミンがもたらす効果効能について紹介しています。

セサミンとはどのような成分?

ごまに含まれるセサミンとはセサミンはごまに含まれるゴマリグナンというリグナン類の一種。
ごま以外にもサンショウの樹木の表皮やイチョウなどにも含まれています。セサミンは油に溶けやすい脂溶性物質なので、油脂類に溶かすことで効率的に摂取することが可能です。
ごま1粒に含まれるセサミンの量は1%と言われています。セサミンの1日の摂取目安量は8~10mgで、ごまでいうと約3,000粒分。通常の食品から摂ることができるため、安全性が高い成分として知られています。
またセサミンは1日で体外へ排出されてしまうため、継続して摂取し続けることが大切です。効率よく摂るためには、ごま油やすりごまなどがおすすめ。ただし、摂り過ぎると体に悪影響を与えてしまうおそれがあるので注意が必要です。

セサミンの効果効能一覧

セサミンは胃腸で分解されず、血液を肝臓へ運ぶ静脈である「門脈」で吸収されるため、肝臓に直接働きかける作用があります。
アルコールの分解を促進させて二日酔いや悪酔いを予防。アルコール代謝に必要な酵素の働きを高めることで、肝臓への負担を減らす効果も期待できます。
セサミンは体内に蓄積された脂肪を減らす酵素を活発化させる作用もあるため、コレステロール値や血圧を下げる効果も。
また、脂肪酸の一種であるα-リノレン酸をDHAに変化させる働きがあり、善玉コレステロールを増やして悪玉コレステロールを減らしてくれます。血液改善の効果が期待できるので、脳梗塞や動脈硬化の予防につながるのです。
ほかにもセサミンは高い抗酸化力を持っており、物質を酸化させる活性酸素を減らします。脂質が酸化することで発生する過酸化脂質は、老化やがんを発症させる原因のひとつ。セサミンの抗酸化作用は老化やがん予防にも期待できると飲み続ける方が多くいます。

血液中のコレステロールを減らす効果

コレステロールは体の細胞膜やホルモンを構成するために必要な成分。
コレステロールが作られるのは肝臓ですが、肝機能が弱まっていると血液中の悪玉コレステロールが増加していくのです。セサミンにはその悪玉コレステロールを減らす効果があります。
ビールや清涼飲料水の製造・販売を行っているサントリーは、セサミンには悪玉コレステロールを低下させる効果があることを研究結果により確認。
高コレステロール食を摂るグループを2つに分け、一方のグループにはセサミンとビタミンEも一緒に摂取する研究を実施しました。その結果、セサミンも一緒に摂ったグループには悪玉コレステロールの減少が顕著に見られたそうです。
この成果は日本動脈硬化学会でも発表されています。

高血圧の予防効果

セサミンには高い抗酸化作用があり、体内に蓄積された活性酸素を除去する働きがあります。活性酸素は血管の老化を促進させる酸素。セサミンが持つ抗酸化作用により血管の老化を防ぐことで、高血圧の予防効果に繋がるのです。
「サントリー健康科学研究所」が行った実験ではセサミンに高血圧の予防効果があったと論文で発表しています。食塩を与えたラットにセサミンを摂取させる実験を実施。摂取後は血圧が下がり、高血圧の改善が見られたそう。また、高血圧を発症する前からセサミンを投与していたラットには、血圧が上昇しづらくなることも証明されています。

抗酸化作用

身体本来が持つ抗酸化力は加齢とともに低下していくものですが、食べ物で補うことが可能。抗酸化力を補える食べ物の中でもとくに注目されているのがセサミンです。セサミンはごま1粒に1%未満しか含まれていませんが、高い抗酸化パワーを持つ成分。活性酸素を除去したり肝機能をサポートしたりする働きがあります。
老化やがんの原因となる過酸化脂質は、脂質が酸化することで発生する物質。セサミンが持つ抗酸化力により物質を酸化させる活性酸素を抑制することで、老化やがん防止に繋がります。
活性酸素が発生しやすいのが肝臓です。抗酸化成分には体内に吸収されにくいものや、肝臓に行き届く前に分解されるものが多くあります。ですが、セサミンは胃腸で分解されずに肝臓まで届いてから高い抗酸化力を発揮。活性酸素をしっかり除去することが確認されています。

疲労回復効果

「疲れがとれない」「やる気が出ない」といった疲労感は、体調や気分によって左右されるもの。原因としてあげられるのが、酸化によって発生する有害な作用の酸化ストレスです。
物質を酸化させる働きがある活性酸素が深く関わっており、疲労感に繋がるといわれています。セサミンにはそんな疲労感を回復させる作用があり、サントリーが行った実験によって効果が確認されたそうです。
疲労を感じる324人を対象にセサミンを摂取するグループと摂取しないグループで比較。その結果、セサミンを摂取したグループには疲労感、睡眠といったさまざまな項目で改善が見られました。とくに寝つき・眠り・髪のツヤやハリ・目の疲れにおいて高い効果を確認。
この実験の成果は論文でも発表され、世界中から注目を集めています。

組み合わせの良い他の栄養素

DHA・EPA

青魚に含まれているDHA・EPAとセサミンを同時に摂取すると、肝臓が脂肪を代謝させる働きを促進させてくれると報告されています。
しかも、肝臓の脂肪代謝能力を高めるために必要なDHA・EPAの摂取量は、食事の中で青魚を食べる程度の量で良いとされているので、その効果はかなり狙いやすいと言えるでしょう。
セサミンは血圧低下や血管の弾性アップに役立つ栄養素ですが、DHA・EPAにも血液サラサラ効果があるため、脳梗塞予防の食事にはどちらも取り入れたいものです。相乗的な効果が期待できると共に、肥満やメタボリックシンドローム予防にも役立ちます。

γ-トコフェロール

γ-トコフェロールはビタミンEの一種で、セサミンと同時に摂取することで、皮膚のアンチエイジング効果、皮膚障害の改善などの効果があると報告されています。ビタミンEも高い抗酸化作用を持つ栄養素なので、体全体を若々しく、健康的に保つためには欠かせないものです。
γ-トコフェロールはごまの中にも含まれている栄養素なので、ごまを摂取すれば自然とセサミンとγ-トコフェロールを同時に摂取することになるため、特に意識せずとも相性良く摂取できる組み合わせです。
セサミンとγ-トコフェロールの相性が良いという点は、ごまの中に含まれるγ-トコフェロールは、その他のγ-トコフェロールよりも高い働きを見せるということに由来します。
通常、γ-トコフェロールは体内での活性が低いため、ビタミンEとしての効果はあまり期待できません。ですが、ごまの中に含まれるγ-トコフェロールは体内で高い働きが確認されているのです。その理由は、ごまに含まれるゴマリグナンが作用しているためだと考えられています。

組み合わせの悪い他の栄養素

降圧薬

栄養素ではなく医薬品ですが、血圧を下げる働きのあるセサミンと降圧薬を併用すると、想定以上に血圧が下がってしまうことがあるため注意が必要です。
普段の食生活の中で、風味付け程度にごまを摂取するなら大丈夫でしょうが、サプリメントや健康食品でセサミンを摂取する場合、処方薬との組み合わせに気をつけてください。不安な場合は、医師に相談してから摂取しましょう。

セサミンを摂るとなぜ脳梗塞が予防できるのか

セサミンの効果的な取り入れ方脳梗塞を発症する原因のひとつに動脈硬化があげられます。
動脈硬化とは、血中の悪玉コレステロールの増加によって血管が硬くなり、血流が悪くなること。セサミンが持つ強い抗酸化パワーにより、悪玉コレステロールの増加を促進させる活性酸素を除去する働きがあります。
血中の悪玉コレステロールが減少して血行が良くなることで動脈硬化の発症を防ぎ、結果的に脳梗塞の予防に繋がるのです。また、高血圧も脳梗塞を引き起こす原因のひとつ。
セサミンには体内に溜まった脂肪を減らしてくれる酵素に働きかける作用もあるため、血圧を下げる効果が期待できます。動脈硬化と同様に高血圧を予防することで、脳梗塞の発症予防につながるのです。
脳梗塞を予防するためにも、セサミンが含まれるごまを積極的に食べましょう。効率よく摂取するには、ごま油やすりごまなどがおすすめ。「ごまが食べられない」「ごまはどうしても苦手」という方はサプリメントで補うのがおすすめです。ごまに含まれるセサミンは脳梗塞だけでなく、さまざまな病気予防のサポートもしてくれます。詳しく調べてみてはいかがでしょうか。

1日の摂取量の目安

セサミンの1日の摂取量の目安は、10mgだとされています。10mgという量を食品から摂取しようとすると、ごま油では大さじ1杯(14g)が目安となります。
ただし、このごま油は、LDLコレステロールを減少させる働きをする特定保健用食品として認められているごま油の場合です。したがって、通常のごま油ではこれよりも、セサミン含有量は少なくなるでしょう。
セサミン10mgを加工食品から摂取する場合は、使っているごまの種類によってセサミン含有量が変化するため、一概に言えません。ですが、ごまから直接摂取しようとした場合は、含まれているセサミン量の平均値がわかれば、ある程度の見当をつけることができるでしょう。

ごまに含まれるセサミン量の検証結果

ごまの中のセサミン量を詳しく見ていくと、個体によって差があるようです。そのため、「ごま1粒で○mgのセサミンが摂取できる」と判断することはできませんが、含有量の平均値を出したところ、次のような結果となりました。

666系統の種子におけるセサミン含有量の変異は0.1mg/g から10.0mg/g で平均は3.1mg/g であった。3~4mg/g の系統が最も多く、中央値は3.0mg/g であった。

出典:国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構『(PDF)ゴマ種子中のセサミン・セサモリン含有量の変動要因解析と高含有品種の育成および脂質代謝における機能性評価』

この結果を見ると、ごま1gの中に含まれるセサミンはおよそ3gであると考えられます。セサミン含有量の幅はかなり広いですが、平均値を利用すると、1日に10mgのセサミンをごまから摂取した場合は、およそ3~3.5gの摂取が適当です。
ごまの平均的な重さは、1粒2mgとされています。そのため、ごまの粒数から換算すると、1日に1,500~1,750粒を食べなければならないことになります。

セサミン含有量が多いごまも存在する

ごまからのセサミン摂取量についてご紹介しましたが、1,500粒ものごまを毎日摂取するのは、かなり困難なことでしょう。ですが、ごまの中でもセサミンが多めに含有されている種類もあるため、脳梗塞予防のためには、そういった種類のごまを食事に取り入れることがおすすめです。
例えば、ごま1gの中に10mgものセサミンが含まれているごまも存在するため、このような高セサミンのごまを利用すれば、より摂取しやすくなるでしょう。ただし、それでも500粒のごまを摂取する必要があるため、サプリメントや健康食品を利用するのが最善です。

セサミン10mg摂取時の血圧変化のエビデンスについて

セサミンを1日あたり10mg摂取した場合に、脳梗塞予防にはどのような効果があるのでしょうか。セサミン10mgを4週間継続的に摂取した場合の研究結果が報告されているので、その結果についてご紹介します。

その結果,セサミンEの4週間摂取により,総自律神経活動,交感および副交感神経活動の亢進が認められ,特に副交感神経活動の亢進が顕著であった.血圧も正常化する傾向が認められ,血管弾性においてはセサミンE摂取群で有意に改善することが明らかとなった.

出典:ビ タ ミ ン 79 巻 1 号 (1 月)2005『(PDF)セサミンの抗酸化作用』

このように、セサミン摂取時の健康への影響は、脳梗塞予防のために欠かせないものと言えるほどです。副交感神経が活発になることでストレスが緩和され、血圧が正常になります。
その上、血管の弾力性も増したという結果になっているため、動脈硬化予防と血栓予防に大きな役割を果たしてくれるでしょう。
セサミン10mgをごまから摂取することは難しいですが、このように脳梗塞予防に大きく役立つ栄養素であることは間違いありません。工夫して、毎日10mg摂取することをおすすめします。

この記事をつくるのに参考にしたサイト・文献

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