脳梗塞とは、脳の血管が何らかの原因で細くなったり(狭窄)血栓ができて血管が詰まる(閉塞)ことで発生する症状。狭窄・閉塞が起きると脳に酸素や栄養が行き渡らなくなり、脳細胞が障害を受けてさまざまな弊害が生じます。
発症する前に以下のような兆候が見られることがあります。こうした兆候にいち早く気づくことで、重症化を未然に防ぐことが可能です。

初期症状チェックリスト

  • ろれつが回らなくなり言葉が出なくなる
  • 顔に歪みが出る
  • 片方の手足に力が入らない、痺れが起こる
  • 片方の目が見えなくなる、視野が狭くなる
  • フラフラし、障害物がないのにつまづく
  • 人の言うことがうまく理解できない

厚労省発表の「人口動態統計の概況」によると、平成26年間の死因別死亡総数のうち、脳血管疾患は11万4,207人にのぼり、全死因の上位4番目。このうち、脳梗塞による死亡数は6万6,058人と、実に6割を占めています。
さらに「平成25年国民生活基礎調査」によると、いわゆる「寝たきり」の原因となる要因のうち約20%以上が、脳梗塞をはじめとする脳血管疾患です。年間医療費でみると、実に1兆7,730億円にのぼり、年齢別にみると65歳以上の割合が最も高く、1兆4,116億円となっています。
このように、脳梗塞は本人にとってはもちろん、介護するご家族にとっても、極めて深刻な疾患です。将来的には、救急医療の向上により、救命率は上昇する一方で、さらに「寝たきり」や「リハビリ」が困難な患者が増加することも予想されています。
ちなみに、脳梗塞を発症するリスクが高い人は、高血圧/糖尿病/心房細動/脂質異常症/肥満/喫煙者など。とくに、生活習慣病や動脈硬化と縁の深い病気です。とくに近年、高血糖・高血圧から、突然発生する方が多い傾向にあります。
脳梗塞は誰にでも起こり得るもの。それゆえに、脳梗塞の兆候と発症リスクを知っておくことは、日常的な脳梗塞予防対策にとって非常に重要です。

脳梗塞の発症リスクが高い人とは?
その要因を確認してみる


脳梗塞は、再発しやすい病気でもあります。「久山町研究」という32年以上にわたる追跡調査によると、脳梗塞の再発率は発症1年目で10%、5年目で34.1%、5年目で実に49.7%にのぼります。しかも、再発すると最初の時よりも後遺症が重くなったり、新たな後遺症が加わったりする恐れがあることから、再発を防ぐことはかなり重要と言えます。なお再発の場合も、必ず初めの時と同じような前兆があります

脳梗塞の主な治療内容

脳梗塞の疑いで来院・搬送された場合、各種検査の結果によって治療方針を決定。
薬物治療や手術などを行い、後遺症を軽減するために治療初期から、リハビリテーションに取り組んでいきます。

  • 薬物治療
    (内科的治療)

    血栓を溶かす薬剤(血栓溶解薬)・血液の凝固を抑える薬(抗凝固剤)・血小板の働きを抑制する薬(抗血小板剤)・脳の腫れやむくみを抑える薬(脳浮腫軽減薬)などを用いて、症状の悪化を防ぐ治療法です。注射・内服で処方されます。

  • 手術

    動脈硬化によって厚くなった内壁をくり抜く頸動脈内膜切除術(CEA)や、閉塞・狭窄した血管を他の血管につなぐバイパス手術(血管吻合術)、ステントと 呼ばれる網状で金属製の筒を頸動脈の狭窄部分に留置するステント留置術などがあります。脳梗塞の種類や部位によって適切な方法が選択されます。

  • リハビリ
    テーション

    手足の麻痺・言語障害などが認められた場合、機能を回復させるためのリハビリテーションを行います。理学療法・作業療法・言語療法などがあり、後遺症の軽重を問わず1日でも早くスタートすることが望ましいとされています。

脳梗塞の早期発見に
つながる検査をチェック

脳梗塞の再発を防ぐ
5つの方法とは

脳梗塞は再発しやすい病気のひとつでとして知られています。1年間の再発率は5%、5年間では20%もの患者が、脳梗塞を再発しているというデータもあります。
投薬による治療はもちろんのこと、脳梗塞の再発予防に大切なのは日常生活の習慣を見直し、リスク要因と考えらるものをなくすこと。ここでは脳梗塞の再発を防ぐ5つの方法についてそれぞれ詳しく説明しています。

POINT1

食事と食習慣を改善する

脳梗塞の発症リスクを高める食品・食事と、脳梗塞予防によい食品についてまとめています。乱れた食生活は脳梗塞の再発に繋がります、まずはここから見直しを。

POINT2

健康食品を取り入れる

脳梗塞の再発予防に効果があるとされる、健康食品・サプリメントの成分をご紹介。食事から十分に摂取できない成分は、健康食品やサプリを上手に活用。

POINT3

正しい水分
補給を心がける

血管を詰まらせるドロドロ血液を防ぐために、正しい水分補給は必須です。上手な水分補給のポイントをまとめていますので、毎日の健康管理にぜひ役立てて。

POINT4

生活習慣を
見直す

健康に悪い生活習慣を続けると、脳梗塞だけでなくさまざまな病気の原因となりかねません。運動不足の解消・禁煙・減塩など、改善したい生活習慣を解説しています。

POINT5

薬物療法で
再発予防

脳梗塞の再発を防ぐための薬剤と効果、懸念される副作用について解説しています。処方された薬をきちんと継続して服用することが、再発予防には何より重要です。

脳梗塞の後遺症を克服するリハビリの3ステップ

脳梗塞を発症した方が、必ず通らなければならないのが、ダメージを受けた体の機能回復を目指して行うリハビリテーションです。
脳梗塞の治療を行いながら集中治療室で始められ、退院後まで続く長い道のりですが、
その後の生活の質を左右する重要なポイントになっていきます。

急性期のリハビリ

脳梗塞が発症し、寝たきりの状態が長く続くと廃用性症候群で筋力や骨、心肺機能が低下してしまうなどの恐れがありますので、できる限り早期にリハビリを開始します。急性期のリハビリには、大きく寝たきりの状態で行う臥床期のリハビリ、ベッドから起き上がる離床期のリハビリの2種類があります。

回復期のリハビリ

車いすに30分以上座れるようになったら、リハビリテーション室での本格的なリハビリに入ります。麻痺が現れたり、発語が難しくなったりと自由が利かない身体の状態を、日常生活が送れるまでに回復させるために、機能を回復させる訓練を行うと同時に、残された部分の能力を引き出す訓練の2本立てで行います。

維持期のリハビリ

回復期を経て、自宅へ戻った後も、リハビリの効果を維持して通常の生活が送れるように行うのが、維持期のリハビリです。病院や施設でベッドや車いすの上でできる作業、歩行訓練など、機能回復訓練を続けるほか、自宅では日常生活で行うすべての動作がリハビリになります。

リハビリ体験談

脳梗塞を発症すると、半身麻痺や言語障害が残りやすく、その後の生活に支障をきたします。そんな障害をリハビリで乗り越えた経験を持つ方の貴重な体験談を紹介します。

特集!脳梗塞の予防に役立つ血液サラサラ成分

血液ドロドロのイメージここでは、血液中の血小板がかたまりやすくなるのを防ぎ、血液をサラサラにして血管内を流れやすくする効果が期待できる成分をご紹介します。これらの成分を毎日の食事やサプリなどの健康食品で摂取することによって血液の質が改善され、脳梗塞の発生や脳梗塞の再発リスクを減らすことが可能になります。

糖質や脂質の過剰摂取などが原因で血小板が固まりやすくなり、その血小板が血栓となって脳血管を塞いでしまうことで発症する脳梗塞ですが、血液がドロドロな状態になれば血管も傷つきやすくなり、脳出血(脳溢血)やくも膜下出血、心筋梗塞など「突然死」の危険性も高まってしまいます。

脳梗塞や脳出血を予防するためにも、また再発を予防するためにも、まず真っ先に行動を起こすべきはこの「血液の健康回復」なのです。水分不足や喫煙などの日常生活にも注意すべきポイントはたくさんありますが、まずはサラサラの血液を目指すために摂取すべき成分について勉強しておきましょう。

酵素

ドロドロになった血液を浄化
栄養の吸収・分解・排泄に不可欠な「酵素」

食べ物の栄養を分解して吸収しやすいかたちにし、不要なものは排泄する。その役割を担っているのが酵素です。血液が体内を滞りなく循環できるようにサポートする酵素は、脳梗塞や心筋梗塞の予防にもひと役買っているのです。
酵素を多く含む食品:納豆、味噌、醤油などの発酵食品

>>酵素について詳しく見る

アリシン

玉ねぎ・ニンニクなどに含まれる
イオウ化合物の一種

アリシンは、玉ねぎ・ニンニクなどの食材を調理することで生まれる成分です。脳梗塞の原因となるコレステロールの酸化を抑えたり、血行を良くする働きがあります。
アリシンを多く含む食品:ニンニク、大根、玉ねぎ、長ネギなど

>>アリシンについて詳しく見る

ナットウキナーゼ

納豆菌に含まれる酵素

納豆のネバネバに配合されている成分「ナットウキナーゼ」が、血栓の主成分であるタンパク質やフィブリンを分解。また、プロウキナーゼという成分を活性化して、血栓溶解酵素を生成し、血流を改善してくれます。
ナットウキナーゼを多く含む食品:納豆

>>ナットウキナーゼについて詳しく見る

DHA・EPA

青魚に多く含まれる
必須脂肪酸

青魚を食べると、体内で必須脂肪酸「DHA」「EPA」を生成。DHAが中性脂肪を低下させて血液をサラサラに、EPAが血小板の凝固を防いで脳梗塞のリスクを軽減してくれます。
DHA・EPAを多く含む食品:サバ、イワシ、さんま、マグロなど

>>DHA・EPAについて詳しく見る

ポリフェノール

高い抗酸化力を持つ
天然成分

食べ物に含まれる成分「ポリフェノール」が、活性酸素によって引き起こされる、中性脂肪と血中のコレステロールの酸化を防いでくれます。動脈硬化を抑制するため、脳梗塞への予防効果があります。
ポリフェノールを多く含む食品:赤ワイン、生姜、りんご、ブロッコリーなど

>>ポリフェノールについて詳しく見る

セサミン

ゴマに含まれる注目成分

セサミンには抗酸化作用があり、血中の脂肪量を低下させて血液をサラサラにする効果があります。食べ物だけでは1日分の摂取量が補えないため、ゴマペーストなどに加工した食べ物や、サプリメントで補う必要があります。
セサミンを多く含む食品:ゴマ(ゴマ油、ゴマペースト、すりごまなど)

>>セサミンについて詳しく見る