ストレス

仕事や人間関係などのストレスが私たちの体に与える影響について考えてみましょう。脳梗塞との関係や、どのようにストレスを回避すべきかなど、改善方法についても解説します。

体の不調の原因はストレスかもしれない!?

お仕事が忙しい方や、職場や友人、家族の人間関係などで苦労の多い方は、日常的に強いストレスにさらされていることが考えられます。

現代社会に生きるほとんどの人は、何らかのストレスやプレッシャーを感じながら生活しているわけですが、そのストレスが受け止められる範囲を超えてしまうと、SOSサインが体や心の不調となって表れることがあるのです。

主な症状としては、肩こりや疲労感、脱毛、頭痛や不眠など。ほかに、気分の落ち込みやイライラ、集中力の低下や生活の乱れ、過剰な飲酒や喫煙、暴飲暴食などに現れる場合もあります。

原因不明の体調不良が起こったら、ストレスが原因なのでは?と疑ってみても良いかもしれません。

ストレスと脳梗塞の関係

強いストレスを受けたことに起因する体調不良は、一過的な場合が多いようですが、ストレスフルな状態が長引けば症状も長引いて、さらに悪化することに。自律神経が正常に働かなくなり、消化器や循環器の病気につながることもあるそうです。

血圧の調整ができなくなったり、血流が阻害されて、脳梗塞などの血管系の疾患を発症するリスクも高まります。

このように、ストレスを甘く見ていると重大な病気を招いてしまう危険もあることを認識しておきましょう。

なぜストレスで自律神経の不調が引き起こされるの?

ストレスフルな状態が長く続くと、なぜ自律神経が正常に働かなくなるのでしょうか?

ストレスは交感神経を活性化させる「ノルアドレナリン」と「アドレナリン」を放出させ、体を緊張状態にするからだと言われています。

自律神経は副交感神経と交感神経によってバランスが保たれており、交感神経というのは、自律神経の中でも、興奮状態や緊張状態、恐怖状態のときに活性化する神経です。

ストレスが交感神経に影響を与える理由

精神的ストレスは,図 1 のように大脳皮質や大脳辺縁系を経由して視床下部に情報伝達され,ストレス反応系である「視床下部-交感神経-副腎髄質系(SAM 系)」と「視床下部-下垂体前葉-副腎皮質系(HPA 系)」を活性化させる.

出典:公益社団法人 日本薬理学会『(PDF)ストレスと疲労のバイオマーカー』

この文献にあるように、ストレス信号が経由するルートの中には、視床下部から交感神経を経由し、副腎髄質に影響を及ぼすものがあります。つまり、「ストレス」という信号を脳で受け取ると、自動的に交感神経が活性化され、体は活動に備えた状態になるのです。

 

さらに、副腎髄質はアドレナリンを作り出す器官でもあり、アドレナリンは交感神経を刺激します[1]。結果的に、長期的なストレスにさらされると、交感神経が活性化→副腎髄質からアドレナリンが分泌→アドレナリンが交感神経を活性化

という悪循環に陥り、常に交感神経が優位な状態になってしまうのです。

自律神経と消化器官・循環器の関係性は?

自律神経が正常に働かないことによって、消化器官や循環器系の疾患に罹りやすくなる理由は、そもそも自律神経は「胃腸」と「心臓」の調整を担当している神経だからです。興奮状態のときの交感神経は心臓を活発にし、リラックス状態のときの副交感神経は胃腸を活発化させます。

そのため、ストレスによって交感神経が優位になると、体には次のような反応が起こります。

  • 脈拍数の増加
  • 血管の収縮
  • 血圧の上昇
  • 血液が脳や心臓に集中する
  • 胃腸の働きが止まる

交感神経の働きが高まると、脈拍数が増加し、血圧も上昇。心臓に過度な負荷をかけることになります。そして、脳や心臓に血液が集中するということは、胃腸には十分な血液がいかなくなるということです。

胃腸に十分な血液がいかなければ、胃腸の動きも抑えられることになり、消化・吸収機能はストップしてしまうということが、疾患の原因になると言われています[2][3]。

ストレスが多いと感じたら…効果的な対策とは

適度なストレスは体を活性化させることもありますが、体調不良が現れるほどの過度のストレスは早々に取り除いた方が無難です。

ストレスを取り除く方法として、3種類のアプローチがあります。1つ目は、ストレスの原因となる問題を解決する、またはストレスからできるだけ遠ざかること。以下詳しく説明していきます。

ストレスの原因を解消するには?

ストレスの原因を解消することは、「ストレスコーピング」と呼ばれており、その方法は次の2つに分けられます[4]。

  • 問題焦点コーピング

ストレスの原因であるもの自体に働きかけることで、原因を解消する方法です。 例えば、職場にストレスの原因となる人物がいた場合、その人物と話し合って、ストレスの原因を失くしていきます。

  • 情動焦点コーピング

ストレスの原因はそのままにし、その原因に対する自分の考え方を変化させる方法です。 例えば、職場にストレスの原因となる人物がいた場合、その人の思考や行動に理解を示す考え方を身に着けるなどして、ストレスの原因を失くしていきます。

解決法として推奨されるのは、問題焦点コーピングの方です。ストレスの原因に対する考え方を変えるのが難しいことなので、できれば問題焦点コーピングの方で解決していきましょう。

2つ目は、ストレスへ柔軟に対処できる方法や緩和できる思考を身に付けることです。以下具体的に見ていきましょう。

ストレスに柔軟に対処する方法とは?

ストレスに対処する方法や思考を見つけていくことは、「ストレスマネジメント」と呼ばれています。先にご紹介した、ストレスコーピングもこの中のひとつです。

ストレスを緩和できる思考というのは、「楽観的・肯定的な考え」「自分の捉え方の歪みを解消する」「希望・夢・目標を持つ」などが代表的です。

細かいことを気にせず、楽観的に、ポジティブな思考でいることが大切で、そのような思考ではストレスを感じにくくなります[5]。

ストレスに柔軟に対処する方法は、「認知行動療法」というケアを受けるのが一般的です。

ですが、それでは手軽ではないので、「自分なりのリラックス方法」「深呼吸をする」「ゆったりとした場所でくつろぐ」などの方法であれば、今日からでも実践できるでしょう[6]。

3つ目は、休息や睡眠を取ってストレスに対して過剰に反応しない体を作ること。

ストレスそのものを取り除くことが第一ですが、それが難しい場合は、同じストレスを受けていても、対処できる思考や身体を作っておくことで、不調を感じずにやり過ごすことができるようになるはず。

ストレスを上手にコントロールできる心や体を整えておきましょう。以下体づくりのポイントを解説していきます。

ストレスに対して反応しない体を作るには?

ストレスが長期化すると、交感神経が優位になるとご紹介しました。交感神経が活発になりすぎると、体は十分な休息をとることができず、ストレスへの抵抗力が低くなります。

すると、さらにストレスを強く感じてしまう結果となるため、ストレスに反応しにくい体にリセットすることが大切です。リセットするための方法は、次の6つであればすぐに実践できます[5]。

  • 1日15分程度の運動をする
  • 無理せず楽しく働く
  • 十分な時間の睡眠を毎日とる
  • 仕事や家事の合間に適度な休憩を挟む
  • バランスの良い食事を三食楽しく食べる
  • 適度な入浴をする

この6つのポイントは、体の正常な代謝を促進させる行動です。これらに気を付けて、毎日実践していくことで、ストレスを感じにくい体を作ることができるでしょう。

この記事をつくるのに参考にしたサイト・文献

[1]国立医薬品食品衛生研究所:主なホルモンとその作用

[2]公益社団法人 日本農芸化学会 :(PDF)自律神経による生体制御とその利用

[3]国立循環器病研究センター 循環器病情報サービス:[95] ストレスと心臓

[4]厚生労働省 e-ヘルスネット:ストレスコーピング

[5]文部科学省:第2章 心のケア 各論

[6]独立行政法人労働者健康安全機構 埼玉産業保健総合支援センター:(PDF)働く人のためのストレスマネジメント