日本人の死因第4位の脳卒中
日本人の死因の第4位である脳血管疾患。実は経済的に恵まれた国の中では死因第2位というデータがあるほど恐ろしい病気です。ここでは日本人の死因や疾患の中で、脳血管疾患がどのような影響をもたらしているのかを解説しています。予防にまつわる情報や脳卒中の細かな情報を載せているので、気になる方はぜひ参考にしてください。
日本人の死因第4位の脳卒中
2016年に厚生労働省が発表した日本人の人口動態統計によると、日本人の死亡要因第4位は「脳血管疾患」。ここでは厚生労働省が発表したデータをもとに、死亡原因以外の内容についても解説しています。現在の日本人がどのような原因で死亡しているのかというデータを知ることは、自分の今後の人生を考える参考になるはずです。
脳血管疾患の死亡数は年間11万1,973人
2016年に発表された日本人の死亡要因グラフ。このグラフを見ると日本人の死因の上位5つは、1位が悪性新生物(ガン)、2位が心疾患(心臓)、3位が肺炎、4位に脳血管疾患、5位が老衰ということが分かりました。この順位は前年から変動していないとのこと。
死亡原因の比率
- 1位:悪性新生物(28.5%)
- 2位:心疾患(15.1%)
- 3位:肺炎(9.1%)
- 4位:脳血管疾患(8.4%)
- 5位:老衰(7.1%)
脳血管疾患の患者数
厚生労働省の発表によると、2014年に患者数を調査したところ、脳血管疾患の総患者数は117万9000人とのこと。3年前の調査では2014年の数よりも6万人患者が多かったようです。また、調査を行った日に治療を受けた患者の推測数は15万9,400人。脳血管疾患を発症してしまった患者の数は普段意識することは少ないかと思いますが、日々10万人以上の方が、治療に専念しているのです。
脳卒中ワースト1位は岩手県
岩手県は脳卒中での死亡率が全国でワースト1位。名誉挽回のために官庁と民間が組織を発足し、改善を図っているようです。なぜ岩手県は脳卒中ワースト1位になってしまったのかをここではご紹介していきます。
なぜ岩手県はワースト1位なのか?
脳卒中に詳しい県医師会の専門家は、岩手県の食生活が原因ではないかと考えています。脳卒中の大きな原因は高血圧です。
岩手県では冬に野菜を貯蔵する手段が漬物という食塩文化。昔からおふくろの味と言えば塩分が多い食事が多く、先祖代々の味として受け継がれています。塩分を摂り過ぎると高血圧をまねき、慢性化すると動脈硬化になり血管が破れたり詰まったりしやすくなるのです。また、全国で喫煙率が5位、肥満度が男性5位、女性4位といった複数の要因が重なり、脳卒中の発生数が多くなったと考えられています。
食塩摂取量と脳卒中の因果関係
日本では成人の3人に1人は高血圧と診断されています。とくに高齢者になると3人に2人が高血圧であると診断されているようです。高血圧は脳卒中や心臓病に繋がりやすくなるため、高血圧の予防・治療は国民の大きな課題の一つ。全国の中で、最も塩分の摂取量が多い県は岩手県となっています。
高血圧の予防には減塩と体重管理が効果的です。なかでも毎日の食事の塩分を抑えることが重要。和食は塩分を取り過ぎなくて済むので、食生活を和食メインに変えることも一つの手と言えます。ですが漬物やみそ汁、干し物などは塩分過剰摂取になりやすいので気を付けましょう。
そもそもなぜ塩分を取り過ぎると脳卒中に繋がるの?
- 塩分を取り過ぎると血中のナトリウム(塩分)濃度が高くなります。
- ナトリウム濃度が高くなると人は水分を摂ります。
- 水分を摂ると毛中の血液量が増えて、血圧が高くなります。
- 高血圧状態が続くと血管がいつまでも張りつめた状態になり、血管の壁が厚く、硬くなります。
- 血管が固くなると、血が詰まりやすくなり脳卒中といった病気を発症します。
心筋梗塞と脳卒中の死亡率が高い地域は発症率も高い
脳卒中や脳梗塞の発症率が、死亡率から予測できることが日本人を対象に行われた、大規模な実験によって明らかになりました。脳卒中や心筋梗塞の死亡率が高いエリアでは、同時に発症率が高いのです。そのため、死亡率の高いエリアでは積極的な予防・対策が重要だと研究者から警告がでています。死亡率と発生率の関係性をさらに分析したところ、心筋梗塞よりも脳卒中のほうが発症率が高くなる傾向にあるようです。
心筋梗塞の発症医率は男性で死亡率が1.7倍になり、女性では1.4倍。脳卒中の場合は男性で3.7倍、女性で4.3倍という数値がという高い数値がでました。
心筋梗塞について沖縄県・岩手県の男性の死亡率が高く、女性は沖縄県・茨城県で死亡率が高くなっています。脳卒中に関しては男女ともに岩手の死亡率が高いという結果になっているようです。
脳卒中を発症する日本人は年間29万人
日本の脳卒中発症者の数は推計で年間約29万人に上ることが滋賀医科大学などの研究で明らかになりました。この研究は「滋賀県脳卒中発症登録事業」という、滋賀県の地域医療再生の一環として行われた研究結果によるものです。
研究を行なったチームは2011年1月1日~12月31日までのデータを解析しました。2011年の脳卒中発症者は2,956人。初発は2,176人でした。そのうち脳梗塞は64%で、脳出血は25%、クマ目下出血は9%ということが判明。2010年に行われた国勢調査人口を基準として性別・年齢の調整を行なったところ、脳卒中の発症率は10万人あたり166人ということが分かりました。発症した行型別に分けると脳梗塞が107人、脳内出血が42人、くも膜下出血が15人という結果になっています。
半数以上が死亡、もしくは要介護になる
滋賀県で脳卒中の発症率をもとに計算した結果、2011年に全国で約22万人が脳卒中を発症。再発も含めると、約29万人が発症したことが分かりました。
2011年に脳卒中で亡くなった方は全国で12万人。治療の現状は、血管内治療・脳外科的手術を受けた方は9.1%でした。また、73%の患者はリハビリを受けますが、退院時点で亡くなった患者は17%、介護が必要な患者な46%に上ります。
この結果、日本では脳卒中になった方の半数以上が死亡、あるいは介護が必要なっていることが判明しました。脳卒中の発症率は年々減少傾向にありますが、発症の予防と発症後の早期治療が重要だと証明されたことになります。
発症してしまうと非常に高い確率で、自由に動けなくなる脳卒中。日頃から高血圧にならないような食生活を行い、予防に努めることが大切と言えるでしょう。