脳出血とは
脳出血とは?脳梗塞との違いや予防法、原因、治療法などをまとめているページです。
脳出血と脳梗塞の関係性とは
脳梗塞と脳出血とは、どのような違いがあるのでしょうか。
簡潔に説明しますと、脳出血も脳梗塞も「脳卒中」の種類のうちのひとつです。
脳卒中には、「血管が詰まる」ものと、「血管が破れる」ものの2に分かれ、脳梗塞は、前者、脳出血は後者となります。
脳の血管が破れることで起きる脳出血。その原因や、予防法、治療法とは?
脳出血の前兆の特徴
脳出血は「突然起きる」というイメージがありますが、実は前兆と見られる症状は大変多いと言われています。
その症状は、脳内で出血が起きている部位によって異なりますが、発症1か月前から見られる前兆症状を、部位ごとに報告したデータがあるのでご紹介しましょう。
- 小脳出血…めまい、吐気、嘔吐
- 被殻出血・視床出血…片麻痺、失語症
- 脳幹出血…片麻痺、感覚障害、意識障害
- 皮質下出血…頭痛
このように、脳梗塞同様、脳出血の前兆で見られる症状は様々で、「いつもと違う」という感覚を見落とさず、すぐに医療機関を受診することが大切です。
脳出血の前兆である可能性がある症状
こちらでご紹介する前兆は、論文によって報告された症状である者の、まだ「脳出血の前兆である」と断言するには至っていないものです。
ただし、糖尿病で治療を行っていた最中に脳出血を発症させた2例で当てはまったものなので、脳出血の前兆である可能性が高いとされています。
- 高血圧…最高血圧が平常時よりも約40~60mmHg高かった
- 足の変化…足に紅潮とむくみが見られ、皮膚が薄くなっていた
この2点は極端な変化であり、脳出血を発症させた翌日には改善していたため、前兆症状であったと考えられています。
脳出血の原因
もっとも多い脳出血の原因は高血圧といわれてます。
高血圧により、脳の深部に栄養を送るための動脈が硬化。
そのまま放置することで、血管はしなやかさを失い、血圧の変化に耐えられなくなります。
そして、血圧が上がった時に、血管が破れて出血してしまうのです。
もうひとつの原因は、脳血管の病気です。
硬膜動静脈瘻(こうまくどうじょうみゃくろう)や脳動静脈奇形(のうどうじょうみゃくきけい)などが挙げられます。
脳出血の症状
脳出血の症状は、脳梗塞とほぼ同じなので、一見して区別することは難しいでしょう。
脳梗塞の特徴的な症状と言われる「FAST」は脳出血にも当てはまるので、その3つの症状をご紹介します。
- Face(顔の麻痺)
顔の半分のみが歪んでいる、垂れているなどの症状。うまく表情が作れなくなる。 - Arm(腕の麻痺)
片方の腕に力が入らず、持ち上げたままキープできなくなる。 - Speech(言語障害)
簡単な言葉が出てきにくくなり、うまく会話ができなくなる。ろれつが回らなくなる。
この3つが「FAST」で表される脳出血の症状です。
最後の「T」は発症時刻を表しているため、発症時刻を確認してから、すぐに救急車を呼びましょう。
脳出血のその他の症状
脳出血の特徴的な症状として、「FAST」をご紹介しましたが、もちろん他の症状が現れることもあります。
脳梗塞で、梗塞が起きた位置によって症状が異なるのと同様、脳出血では出血が起きた部位によって、症状も様々に異なってくるからです。
- 半身の手足の麻痺と感覚異常
- 目の動きに異常が見られる
- 片方の目の視界が狭くなる(同名半盲)
- 言語障害
- 歩行障害
- 意識障害
- 頭痛
- 嘔吐
脳出血ではこれらの症状が引き起こされる可能性がありますが、中でも「頭痛」と「嘔吐」は発症部位に関わらず、よく見られる症状だと言われています。
脳出血の治療法
脳出血の治療法には、おもに2つの方法があります。
- 薬物治療
脳出血の患者のほとんどが、高血圧が原因。脈拍、血圧ともに不安定なため、絶対安静が必要となります。
血圧がいちじるしく高い場合は血圧降下剤を使い、安定させることも。
その後、運動麻痺などの症状はある場合、リハビリなどを行います。
- 手術
脳の中の血腫を減らし、脳へのダメージを減らすことが最大の目的です。
しかし、脳出血によってダメージを受けた機能を回復させる手術法は無いのだそう。そのため、すべての脳出血に手術が適用されてはいないようです。
脳出血の予防法とは
脳出血を予防するには、最大の原因である、「高血圧」にならないことが重要です。
高血圧を引き起こす、生活習慣についてまとめてみました。
- 煙草の吸い過ぎ…1日40本以上の煙草を吸う人は、非喫煙者にべて脳卒中のリスクが4倍も高い
- 大量の飲酒…1日1合以上、飲酒する人は、脳卒中のリスクが高い
- 運動不足…食事から摂取したエネルギーが消費しきれない。高血圧だけでなく、肥満や糖尿病、脂質異常症になる恐れも
- 肥満…高血圧や糖尿病の原因になる
脳出血の後遺症とは
脳出血は、発症してからすぐに治療を受ければ、後遺症が残らない可能性も高いと言われています。
また、後遺症が残った場合でも、リハビリで回復することが期待できますが、残念ながら重篤な後遺症が残るケースも少なくありません。
脳出血で残る可能性がある後遺症としては、次のようなものが挙げられます。
- 手足の麻痺やしびれ、痛み
- 記憶力の低下
- 注意力の低下
- 言語障害
- 認知機能低下
- 歩行障害
- 意識障害
脳出血の後遺症は、同じ脳卒中である脳梗塞の後遺症とほぼ変わりません。
脳内で出血があった部位によって後遺症も変わり、手足の麻痺が残る場合もあれば、認知機能が低下して認知症のような症状が現れる場合や、意識障害が残って寝たきりになる場合もあります。
また、これらの後遺症が残ることにより、「うつ病」が引き起こされることもあります。
後遺症としてのうつ病は、後遺症が残ったことによる精神的なストレスの他にも、脳の感情を司る部分に出血が起きた場合にも見られる症状です。
もしも、早期の治療で後遺症が残らなかった場合でも、悪天候の日や体調が優れないときに、手足のしびれが出てくるというケースもあるでしょう。
脳梗塞の予防に重要なポイント
脳梗塞を予防するためには、危険因子である高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病を防ぐことが、もっとも大事なポイントのひとつ。そのためには、栄養バランスのとれた食生活が必須です。
手軽に、バランスよく栄養を補給するには、健康食品やサプリメントを利用するのもおすすめ。このサイトでは、脳梗塞予防に役立つとされる健康食品・サプリメントの含有成分を紹介していますので、参考にしてください。
脳梗塞の予防に取り入れられる
健康食品・サプリメントの成分まとめ
この記事をつくるのに参考にしたサイト・文献
- 循環器病情報サービス:[114] 脳出血 最新情報と対処法
- NHK健康チャンネル:脳の細い血管が破れることで起こる脳出血とは
- 公益財団法人日本医療機能評価機構:Mindsガイドラインライブラリ「脳卒中の各タイプについて」
脳梗塞まとめ
脳卒中の一つである「脳出血」についてご紹介してきましたが、原因や症状、予防法などを比較しても、脳出血と脳梗塞は非常に似ていることが分かると思います。
どちらの疾患も、高血圧と血管の劣化によって引き起こされ、いくつかの前兆症状がありながら、本格的な発症に至り、後遺症を残す可能性が高いものです。
両者の原因や症状、予防法などについて簡単にまとめてみましょう。
脳梗塞と脳出血の違いと共通点
脳梗塞 | 脳出血 | |
---|---|---|
原因 | 高血圧、動脈硬化、心疾患など | 高血圧、脳血管系疾患 |
発症 | 血栓によって血管が詰まる | 血圧の上昇によって血管が破れる |
症状 | 頭痛、顔の歪み、手足の麻痺、言語障害、ろれつが回らない、視界が狭くなるなど | |
治療法 | 血栓を溶かす治療、血管内治療、抗血栓療法、薬物治療 | 薬物治療、手術 |
予防法 | 禁煙、アルコールを控える、適度な運動、肥満対策などの高血圧対策 |
このように比較してみると、明らかに異なるのは発症する原因のみです。
特に、「高血圧」が大きな要因となっていることに変わりはないので、高血圧対策さえしっかりとできていれば、脳梗塞と脳出血の両方を予防することは可能です。
脳梗塞が脳出血の原因となる可能性も
非常に似た存在である脳梗塞と脳出血ですが、最近は、脳梗塞を発症したことが原因で、脳出血までも発症させてしまう方が増えてきていると言われています。
その理由は、脳梗塞の治療では「抗血栓薬」が処方されるためです。
抗血栓薬は、血栓が作られないようにする作用があるため、脳梗塞再発のための心強い味方と言えます。
ですが、その反面、「出血しやすくする」という副作用が認められるため、脳の血管が弱くなっていた場合、脳出血の原因にもなってしまうのです。
特に、脳梗塞を発症させたということは、高血圧の方が多いでしょうから、その血液の圧力に血管が負けてしまえば、脳出血を引き起こす可能性は非常に高くなります。
血栓の予防をするなら副作用のない方法で
脳梗塞の治療に用いられる医薬品は、血液をサラサラにする効果は強力ですが、脳出血を引き起こす副作用のリスクも背負っています。
そのため、血栓を予防したい、血液をサラサラにしたいという方は、副作用のない方法で行うことがおすすめです。
食生活の見直し、運動をして血行を良くする、水分を定期的に摂るなどの生活習慣の改善や、サプリメント、健康食品などで血液サラサラ成分を摂取するのも良いでしょう。
利用できるものは上手に利用して、体にとって最も安全な方法で、脳梗塞と脳出血の予防をしていってください。