薬物療法で再発を予防する
脳梗塞の再発予防のために使われる薬の種類とその働き、気になる副作用について解説しています。予防のために薬物治療は必ず必要ですが、重い副作用を伴う場合もあります。ぜひ隅々まで目を通しておいて。
脳梗塞予防に必要な薬と副作用について
脳梗塞の再発を防ぐための薬剤と効果、懸念される副作用を解説します。
脳梗塞は再発しやすい病気。それを予防するためには、適切な薬物療法を受け、処方された薬の服用を継続することが非常に大切です。
抗血小板薬
アテローム血栓性脳梗塞やラクナ梗塞の再発を防ぐために使われるのが、抗血小板薬。
血小板の働きを抑制して血栓ができるのを防ぐ働きを持ちます。現在、使用されている主な抗血小板薬は以下の通り。
■アスピリン
解熱鎮痛剤として知られ、血小板同士の結合を抑えて凝固を防ぐ作用を持ちます。
脳梗塞の予防として処方される量は、鎮痛目的の1/3程(約100mg)。濃度が高いと逆に血栓が作られてしまうため(アスピリンジレンマ)、低用量での処方となります。服用する量は、必ず医師の指示に従うようにしてください。
副作用
胃炎・胃潰瘍・アナフィラキシーショック・脳出血などの頭蓋内出血・肺出血・眼底出血・中毒性表皮壊死融解症・皮膚粘膜眼症候群・剥脱性皮膚炎・貧血・血小板減少・白血球減少・肝機能障害・黄疸・蕁麻疹・発汗・アスピリン喘息の悪化など
■チクロピジン
血小板同士の結合を活発にする物質を抑制。内服後2~3日で効果が見られ、4~7日で安定するのが一般的です。
ただし、白血球減少など重大な副作用が懸念されるため、服用開始から3ヵ月は定期的な検査が必須となります。
副作用
下痢・貧血・胃炎・発熱・白血球減少・肝障害・無顆粒球症・血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)・汎血球減少症・赤芽球癆・脳出血などの頭蓋内出血・中毒性表皮壊死融解症・消化性潰瘍・急性腎不全・間質性肺炎・関節痛・胸部痛など。
■クロピドグレル
血小板が凝固して血栓になるのを防ぐ、血栓症の専門薬。アテローム血栓性梗塞や一過性脳虚血発作に高い効果を持つと言われています。
チクロピジンよりも副作用が少なく、重篤な副作用の発言はきわめて稀。しかし、飲み始めてから2ヵ月間はとくに体調の変化に注意する必要があります。
副作用
鼻血・歯茎からの出血・皮下出血・血尿・脳出血・消化管出血などの重大な出血(稀に見られる)・肝障害・血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)・吐血・下血・眼底出血・関節血種・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・間質性肺炎・好酸球性肺炎・血小板減少・無顆粒球症・貧血・中毒性表皮壊死融解症・薬剤性過敏症症候群・後天性血友病・横紋筋融解症など。
抗凝固薬
血液の凝固因子の働きを抑制し、血栓を防ぐ薬。
心臓内の血液が淀んでできる血栓を防ぐ作用を持つため、主に心原性脳塞栓症の再発予防として使用されます。
主にワーファリンという薬剤が使用されています。
■ワーファリン
心房細動(不整脈)による心原性脳塞栓症の場合に処方される内服薬。凝固因子の活性に必要となるビタミンKの活動を抑え、血液を固まりにくくします。
飲み始めてから効果が安定するまでに時間がかかり、人によって効き目が異なるのが特徴。定期的に血液検査で血液凝固時間をチェックし、量を調節しながら服用します。
ワ―ファリンを服用している人は、ビタミンKを多く含有する納豆・青汁・クロレラ等の摂取は控えます。
また、抗悪性腫瘍剤のカペシタビンとの併用による死亡例もあるため、現在服用している治療薬を医師に伝えたうえで処方してもらってください。
副作用
鼻血・歯茎からの出血・内出血・月経過多・血尿・血便・血痰・吐き気・立ちくらみ・頭痛・皮膚壊死・カルシフィラキシス(痛みがある皮膚の潰瘍や青あざ)・肝機能障害・黄疸など。
脳梗塞の再発を予防するためのこれらの治療薬は、主に血栓が作られることを予防するためのものです。
ご紹介したように、副作用のリスクがある治療薬も多いですが、自己判断でやめると血栓が作られるリスクも急激に高まるため、医師の診断通りに服用してください。
脳梗塞を予防するためには、危険因子である高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病を防ぐことが、もっとも大事なポイントのひとつ。そのためには、栄養バランスのとれた食生活が必須です。
手軽に、バランスよく栄養を補給するには、健康食品やサプリメントを利用するのもおすすめ。このサイトでは、脳梗塞予防に役立つとされる健康食品・サプリメントの含有成分を紹介していますので、参考にしてください。
薬物療法以外の予防方法について
脳梗塞の再発を予防するための方法は、薬物療法だけではありません。その他、日常生活の中でできることもたくさんあり、それらを実践していくことで、治療薬の量を減らせる可能性もあるでしょう。
簡単に取り組める方法としては、生活習慣の改善、運動、禁煙などが挙げられますが、その中でも特に大切なことが食生活の改善です。
食生活では、塩分や脂肪分を控えて動脈硬化と高血圧を改善していくこと、血栓が作られないように血液がサラサラになる成分を摂取していくことがポイントでしょう。
脳梗塞再発予防に効果的な成分について
血液をサラサラにしてくれる成分を積極的に摂れば、「血栓予防」の目的を持つ治療薬を、少しずつ減らしていける可能性もあります。
血液サラサラ効果のある成分について
血液をサラサラにする成分として代表的なものと、それぞれの成分を含んでいる食品は次のようになります。
- アリシン…ニンニク、玉ねぎ、長ネギ
- ナットウキナーゼ…納豆
- DHA・EPA…青魚
- ポリフェノール…植物の樹皮、種子
- セサミン…ゴマ
- イソフラボン…大豆、葛
- ビタミンE…ナッツ類、モロヘイヤ、オリーブ、カボチャなど
- クエン酸・酢酸…柑橘類、酢
いずれも、血栓を予防する効果があるため、脳梗塞再発予防の心強い味方ですが、これらの成分を毎日摂取するのは大変です。
また、これらの成分だけではなく、「酵素」にも、血管を健康にして血液をサラサラにする効果があるとされているため、酵素も積極的に摂取してください。
効率の良い摂取にはサプリメントがおすすめ
血栓予防のための成分を効率よく摂取するためには、普段の食事から摂ることはもちろん、サプリメントや健康食品などを利用していくことがおすすめ。
栄養素と酵素をサプリメントで同時に摂取していけば、脳梗塞の再発を恐れる必要のない、健康的な体になれる可能性も高まるでしょう。