正しい水分補給を心がける
脳梗塞予防のために心がけたい、正しい水分補給の方法についてご紹介しています。水分補給のタイミングや適切な量、摂取する水分の種類、水分不足によるリスクについても必見です。
脳梗塞の予防と水分摂取の関係性
脳梗塞の予防や再発防止に、水分補給は重要です。なぜなら、脱水症状になると血液の流れが悪くなり、血液の粘度が増して血管が詰まりやすくなるからです。
人間の身体は、約60~70%が水分。健康な状態を保つためには、汗や尿で排出される水分量と、外部から補給する水分量のバランスを適切にキープする必要があります。
体内の水分が不足すると脳梗塞などのリスクが高まるほか、熱中症・心筋梗塞・低血圧症状・免疫不良などの症状を引き起こすことも。さまざまな健康障害を防ぐためにも、こまめな水分補給は大切なのです。
上手な水分補給の仕方
水分補給は「飲めばいい」というものではなく、適切なタイミングで摂取することが大切です。脳梗塞を予防するための水分補給で、心がけたいポイントは以下の通り。
■水分補給は早め早めが◎
水分補給は、とくに汗をかいていなくてもこまめに行うことが大切。水分を摂取しても、身体全体に行き渡るまでには15~20分程度かかります。水を飲んですぐに血流が改善するワケではないので、こまめに補給しておくことが重要なのです。
タイミングとしては、就寝前・起床時・入浴の前後・のどが渇く前など。外出中などでもスムーズに水分補給できるよう、水筒などを持ち歩くとよいでしょう。
■適切な摂取量
人間は、1日に1.5~2リットルの水分が必要だと言われています。しかし、これらの量をすべて水で摂る必要はありません。食事・食品に含まれている水分からも摂取できますし、炭水化物・たんぱく質を分解される際にも水は生成されます(代謝水)。
多量の水を摂取しなくても体内の水分出納は保たれているので、量としてはコップ1杯程度でOKです。水を過剰摂取すると「水中毒」という病気になる恐れもあるため、くれぐれも注意しましょう。
■摂取するものに注意
- 普段は水、運動時はスポーツドリンクがベスト
水分を摂取するのに一番理想的な飲み物は、やはり純粋な「水」そのものです。ただし、スポーツなどで汗をかきやすい時には、水よりもスポーツドリンクで水分を摂取したほうが良いでしょう。
その理由は、汗をかくと、水分と一緒に塩分やミネラルも排出されてしまうから。水そのものでは水分しか摂取できませんが、スポーツドリンクであれば、水分や塩分、ミネラルなども同時に摂取することができて効率的です。
ただし、スポーツドリンクの中には、これらの成分と一緒に「糖分」も含まれています。飲みすぎると肥満に繋がり、脳梗塞のリスクを高めることにも繋がるため、飲みすぎには注意してください。 - 炭酸水でも水分摂取は可能
炭酸水というのは、水の中に二酸化炭素だけを溶かしている飲み物なので、水の代用品として飲むことも可能です。
ただし、水と炭酸水を同じ分量で飲んだとしても、水を飲むよりも水分摂取量は減ります。二酸化炭素の分は水分ではないので、たくさん水分を摂取したと思っても、実際にはそれほど摂取できていない可能性もあるからです。 - 炭酸水は肥満予防にも効果的
二酸化炭素が入っている炭酸水を飲むと、胃の中に二酸化炭素が入るため、空腹感を紛らわすことができるというメリットもあります。
その影響で、炭酸水を飲むと食欲が抑えられるため、肥満やメタボリックシンドロームが気になる方は、食事の前に炭酸水を飲むようにしましょう。もちろん、糖分が含まれていない純粋な炭酸水を飲むべきですが、簡単に食欲が抑えられる方法としておすすめです。 - 炭酸水は血管を収縮させるデメリットが?
水分摂取のために利用できる炭酸水ですが、水を飲んだ時と比較して、飲んだ後の体温低下状態が長時間続くという報告もあります[1]。その理由は、炭酸水は血管の収縮を促進させて、血流量を減少させるためだと考えられています。
炭酸水を飲むと体の内部の温度が下がり、皮膚の交感神経が活性化します。交感神経が活性化すると、血管は収縮するようになっているため、血液が通りにくくなるのです。
つまり、動脈硬化で血管壁が厚くなって血液が通りにくい場合は、炭酸水が脳梗塞にとってマイナスとなる可能性もあります。炭酸水ばかりを大量に飲むことは避けるようにしてください。
■夏場は特に気をつけましょう
- 気づかないうちに脱水症状になる危険も
夏場は他の季節よりも汗の量が多くなるため、気づかないうちに脱水症状を引き起こしてしまいがちです。体の中の水分量が減ると、血液の粘土が高まり、血栓が作られやすい状態になります。
特に、夏場に屋外でのスポーツや外出をする時は要注意です。その他にも、風邪をひいて熱を出した時、下痢をして水分の排出量が増えていると時にも、脱水症状が起こりがちになります。こまめな水分補給を心がけてください。 - 「かくれ脱水」に要注意!
脱水症状の中でも、症状が現れにくい「かくれ脱水」というものがあります。かくれ脱水はいつでも発生する可能性がありますが、室内にいる時、運転中、夜間に、特に起こりやすい症状です。
日中に外出していると水分補給に気を付けるものですが、部屋の中や夜間は怠りがち。さらに、深夜や運転中には「トイレに行きたくないから」という理由で、水分補給をしない方もいます。気づかないうちにかくれ脱水が進行する可能性もあるので、いつでもどこでも、水分補給を怠らないようにしましょう。
■水分補給に適さないNGな飲み物
- 清涼飲料水は1本で糖分過多に
水分補給に適していない飲み物の代表は、糖分をたっぷりと含んだ清涼飲料水です。清涼飲料水の中に含まれている糖分はかなり多く、厚生労働省の資料によると、無色の炭酸飲料水でスティックシュガー12~13本分のエネルギー量。
さらに、果実の色がついた炭酸飲料水では、スティックシュガー15本分ものエネルギー量です。このエネルギー換算は、350mlを基本として計算しているようなので、缶ジュースを1本飲んだだけで、1日に必要な糖分摂取量を超えてしまい、高血圧の原因である肥満に繋がります[2]。 - 健康に良さそうな飲み物も糖分たっぷり
女性にも人気の野菜ジュースや濃縮還元タイプのフルーツジュース、ヨーグルトドリンクなどは、「健康に良い」というイメージがあるものです。ですが、これらの飲み物にも糖分は含まれており、飲みすぎには注意が必要です。
先にご紹介した厚生労働省の資料によると、ヨーグルトジュースは無色の炭酸飲料よりもエネルギー量が多いとされています[2]。水分補給のための飲み物ではなく、嗜好品と考えても良いくらいでしょう。 - 清涼飲料水は女性の脳梗塞発症率を高める
清涼飲料水が水分補給に適していない理由は、糖分が多く含まれていて、肥満に繋がるということだけが理由ではありません。実は、清涼飲料水をたくさん飲む女性は、脳梗塞のリスクが高まるという報告があるためです。
この報告は、2012年に大阪大学の研究によってなされたもの。清涼飲料水を飲むと血糖値や中性脂肪が上昇して、脳梗塞を発症する確率が1.8倍にも膨れ上がるという結果を出しました。
女性のみで脳梗塞のリスクが高まる原因は、一般的に女性は男性よりも体が小さく、清涼飲料水による影響を受けやすいからなのだそうです[3]。 - 適度なアルコールは脳梗塞を予防する
アルコールは脳梗塞のリスクを高めると思われがちですが、実は、脳梗塞の予防に効果的だという報告もあります。適度なアルコールはストレスを発散させる働きをするため、ストレスによる血圧上昇を防いでくれることが理由です。 - アルコールはビール大瓶で1日1本まで
ただし、アルコールが脳梗塞予防に効果的なのは、適度な量の場合のみです。大量の飲酒は明らかに脳梗塞のリスクを上昇させるので、摂取しすぎることは大きな問題となります。
「適度」と「大量」の違いは、純度100%のアルコール量で換算して、1日に30mlが目安だと言われています。このアルコール量は、ビール大瓶の場合だと1日1本なので、それ以上のアルコール摂取は控えましょう。
参考:厚生労働省『(PDF)摂りすぎに注意!自分の飲んでいる飲み物からとる糖分の目安』
[3] [4]脳梗塞を予防するためには、危険因子である高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病を防ぐことが、もっとも大事なポイントのひとつ。そのためには、栄養バランスのとれた食生活が必須です。
手軽に、バランスよく栄養を補給するには、健康食品やサプリメントを利用するのもおすすめ。このサイトでは、脳梗塞予防に役立つとされる健康食品・サプリメントの含有成分を紹介していますので、参考にしてください。